リモートチームで「今の気持ち」を短時間共有!心理的安全性を育むオンラインチェックイン
リモートワークにおける「気持ちの共有」の重要性
リモートワーク環境下では、オフィス勤務に比べてメンバーの表情や声のトーン、普段の様子といった非言語的な情報に触れる機会が著しく減少します。これにより、チームメンバーがどのようなコンディションで業務に取り組んでいるのか、どのような心理状態にあるのかを把握することが難しくなりがちです。
メンバー同士がお互いの状況を把握しづらい状況は、互いへの配慮が不足したり、困っていても声を上げにくくなったりといった問題につながる可能性があります。これは、チーム全体の心理的安全性を低下させ、結果としてコミュニケーションの停滞やエンゲージメントの低下を招く要因となり得ます。
そこで有効なのが、オンライン会議の冒頭や終盤に数分間だけ時間を設け、「今の気持ち」や「今日の気分」をカジュアルに共有するショートチェックインです。短時間で手軽に実施でき、メンバー間の相互理解を深め、心理的安全性の向上に貢献します。この記事では、この「気持ち共有チェックイン」の効果と具体的な実施方法をご紹介します。
オンライン気持ち共有チェックインとは
「オンライン気持ち共有チェックイン」とは、リモートチームのメンバーが、会議や日々の業務の始まりまたは終わりに、ごく短い時間で現在の気持ちやコンディションを簡易的に共有するアクティビティです。
難しく考える必要はなく、「今日の気分は晴れです」「少しバタバタしています」「〇〇の進捗があって嬉しいです」といったように、率直な今の気持ちを言葉や絵文字などで表現し、チームメンバーに伝えるだけです。
期待される効果
- 心理的安全性の向上: 自分の内面(気持ちやコンディション)をオープンに話せる場があることで、「ここでは素直な自分を出しても大丈夫だ」という安心感が醸成されます。
- 相互理解の促進: メンバーがお互いの状態を知ることで、共感が生まれやすくなり、コミュニケーションにおける誤解や摩擦の軽減につながります。
- チームのコンディション把握: リーダーや他のメンバーが、チーム全体の雰囲気や個々の状態を把握しやすくなります。これにより、必要に応じたサポートや声かけを行いやすくなります。
- カジュアルなコミュニケーションの活性化: 会議の議題に入る前に少し日常的な会話を挟むことで、アイスブレイク効果が生まれ、その後の議論がスムーズに進むことがあります。
対象人数目安
少人数のチームから大人数のチームまで、人数に応じて共有方法を調整することで実施可能です。
所要時間目安
3分〜5分程度。短時間で終了することが重要です。
準備物
- オンライン会議ツール(Zoom, Microsoft Teams, Google Meetなど)
- 必要に応じて、簡単な共有ボードツール(Miro, Mural, FigJam, Jamboardなど)やチャットツール
具体的な実施手順
オンライン会議の冒頭または終盤に、以下の手順で実施します。
- 趣旨の説明: 司会者(チームリーダーなど)が、今日のチェックインは「今の気持ちを簡単に共有する時間」であることを伝えます。この時間を持つ目的(例: お互いの状態を知り、より気持ちよく働くため)を簡潔に説明し、安心して話せる場であること、無理に話す必要はないことを伝えます。
- 共有方法の提示: どのように気持ちを共有するかを明確にします。
- 一人ずつ順番に話す: 少人数チーム向け。「今の気持ちを一言、または短く表現してください」と促します。
- オンライン会議ツールのチャットに書き込む: 比較的大人数向け。全員が同時に書き込めるため効率的です。「今の気持ちを絵文字や短い言葉でチャットに送ってください」と伝えます。
- 共有ボードツールに付箋で貼り出す: 視覚的に一覧したい場合や、少し時間をかけてもよい場合に有効。「今の気持ちを付箋に書いてボードに貼り付けてください」と伝えます。
- メンバーの共有: 提示された方法で、各メンバーが順番に、または一斉に今の気持ちを共有します。
- 司会者のコメント: 司会者は、共有された内容に対して簡単なコメントをしたり、「皆さん、共有ありがとうございます」と感謝を伝えたりします。特定のメンバーの状態が気になる場合は、会議後に個別にフォローすることも検討します。共有された内容について、その場で深掘りしたり、原因究明をしたりすることは、基本的に行いません。あくまで「共有する場」と位置づけます。
- 終了: チェックインの時間を終え、次の議題に移るか、会議を終了します。
成功のためのポイント
- 継続する: 一度きりではなく、日次や週次など、定期的に実施することで習慣化し、より効果を発揮します。
- 安全な雰囲気作り: 司会者が率先して自身の気持ちを共有したり、「どんな気持ちで共有しても大丈夫」というメッセージを伝え続けたりすることで、メンバーが安心して参加できる雰囲気を作ります。
- 強制しない: 共有はあくまで任意とします。話したくないメンバーに無理強いすることは、心理的安全性を損なう可能性があります。
- 深掘りしすぎない: 短時間のアクティビティとして、個人的な事情やネガティブな気持ちについて深掘りすることは避けます。これは別の機会に個別に対応すべき領域です。
- バリエーションを取り入れる: 毎回同じ方法だと飽きてしまう可能性があります。以下のようなバリエーションを試してみるのも良いでしょう。
バリエーションアイデア
- ワンワードチェックイン: 「今の気持ちを漢字一文字で表すと」「今の気持ちを色で表すと」のように、一つの言葉で表現する形式。
- 絵文字チェックイン: オンライン会議ツールのリアクション機能やチャットで、今の気持ちに一番近い絵文字を送る。
- 天気予報チェックイン: 今日の気分を天気(晴れ、曇り、雨、嵐など)に例えて共有する。
- 画像チェックイン: 「今の気持ちを表す画像をインターネットで探して共有する」など、少し創造性を加える方法。共有ボードツールなどが便利です。
まとめ
リモートワークにおいて、チームメンバーの目に見えない「気持ち」や「コンディション」は、チームの健全性や生産性に大きく影響します。「オンライン気持ち共有チェックイン」は、日々変化するメンバーの状態を短時間で把握し、お互いへの理解と配慮を促すための有効な手段です。
このシンプルなアクティビティをチームに取り入れることで、心理的安全性が高まり、よりオープンで信頼関係の深いチームへと成長していくことが期待できます。ぜひ、貴社のリモートチームでも試してみてはいかがでしょうか。