リモートチームで気軽に質問・相談!ヘルプを求めやすい環境を作る短時間オンラインアクティビティ
リモートワーク環境では、対面でなら気軽に「これどうやるんだっけ?」と席を立ち、同僚に質問できたような場面でも、少し躊躇してしまったり、タイミングを逃してしまったりすることがあるかもしれません。特に新しいツールや慣れない業務に取り組む際、小さな疑問や困りごとが積もると、業務の非効率に繋がったり、一人で抱え込んでしまったりするリスクがあります。
このような「ちょっとした質問や相談」がしにくい状況は、チーム内の心理的安全性を低下させ、ナレッジ共有の機会を失わせることにも繋がります。
この記事では、リモートチームにおいて、メンバーが日常的な疑問や困りごとを気軽に共有し、互いに助け合う文化を育むための、短時間で手軽に実施できるオンラインアクティビティをご紹介します。このアクティビティを通じて、チーム内のコミュニケーションを活性化し、より円滑で協力的なリモートワーク環境を構築するための一助となれば幸いです。
アクティビティ紹介: 「サクッと質問・シェアタイム」
概要
このアクティビティは、チームメンバーがそれぞれ仕事で直面した「ちょっとした疑問」「知っていると誰かの役に立ちそうな情報」「少し困っていること」などを持ち寄り、設定した短い時間内でカジュアルに共有し、知っている人がヒントや回答を共有する時間です。
期待される効果
- 質問・相談のハードル低下: 形式ばらない共有の場を設けることで、「こんなこと聞いても良いかな」という遠慮を減らします。
- ナレッジ・ノウハウの共有促進: 個人の経験や知識がチーム全体の財産となり、暗黙知の形式知化を促します。
- 課題の早期発見と解決: 小さなつまずきが放置されることを防ぎ、チームとして迅速にサポートし合える体制を作ります。
- 相互理解と連携強化: 互いの業務状況や得意なこと、困っていることを知るきっかけとなり、チーム内の協力体制が強化されます。
対象人数目安
3名から10名程度。少人数のチームや、プロジェクトチームでの実施に適しています。大人数の場合は、ブレイクアウトルームを活用したり、グループを分けて実施したりすることも検討できます。
所要時間目安
10分〜15分。朝会や終礼の冒頭、あるいは定例会議の開始前などに組み込むのに適した時間です。
準備物
- オンライン会議ツール(Zoom, Google Meet, Microsoft Teamsなど)
- テキストで情報を共有するためのツール(Slackなどのチャットツールの専用チャンネル、共有ドキュメント、オンラインホワイトボードなど)。今回はチャットツールを想定した手順を記述します。
- 参加者各自が事前に「共有したいこと」を1〜3つ程度準備しておくこと。
具体的な実施手順
- 事前準備: アクティビティ実施のアナウンスを行う際に、「仕事で『これどうやるんだっけ?』と思ったこと、他の人が知っていると役立ちそうな情報、あるいは少し困っていることなどを1〜3つ程度、簡潔に準備しておいてください」と参加者に伝えます。質問だけでなく、自身の発見や知見の共有も歓迎であることを明確に伝えてください。
- オンライン会議ツールに集合: 設定した時間になったら、指定のオンライン会議ツールにチームメンバーが集合します。
- 趣旨説明とアイスブレイク: 司会者(チームリーダーや担当者など)が、この時間の目的(気軽に質問・情報共有し、互いに助け合うこと)を改めて説明します。和やかな雰囲気を作るために、簡単なアイスブレイクを挟むことも効果的です。
- 順番に共有: 参加者が一人ずつ順番に、準備してきた「共有したいこと」を発表します。質問形式でも、情報提供形式でも構いません。例えば、「〇〇ツールのこの機能、もっと効率的な使い方を知っている方いますか?」「最近見つけた△△に関する情報で、皆さんの役に立ちそうなものがあります」「××の作業で少し詰まっているのですが、何かヒントはありませんか?」のように、簡潔に共有します。
- チャットツールでの共有: 共有された内容や質問は、別途用意したチャットツールの専用チャンネルなどにテキストで投稿してもらうように促すと、後から確認しやすくなります。
- その場での応答・補足: 共有された内容に対して、知っているメンバーや関連情報を持っているメンバーがいれば、その場で口頭で簡単なヒントや情報を共有します。複雑な内容や詳細な説明が必要な場合は、「後でチャットで詳しく送ります」「後で個別で教えますよ」のようにフォローアップを約束します。
- 終了とフォローアップ: 設定した時間になったらアクティビティを終了します。チャットツールに残された質問や共有事項があれば、必要に応じて後からコメントするなど、フォローアップを促します。
成功のためのポイント
- 司会者の役割: 司会者が率先して自身の質問や情報を共有し、話しやすい雰囲気を作ることが重要です。「どんな小さなことでもOK」「間違っていても大丈夫」という安心感を言葉や態度で示してください。
- 非難しない文化: 質問内容に対して「そんなことも知らないの?」といった否定的な反応がないよう、ポジティブなコミュニケーションを奨励します。
- 時間厳守: 短時間で区切ることで、参加者の負担を減らし、継続しやすくします。ダラダラと長引かせないよう、司会者が時間管理を徹底してください。
- 完璧な回答は求めない: この場はあくまで「気軽に共有」する場であり、全ての質問に完璧な回答が出なくても問題ありません。ヒントを得たり、誰に聞けば良いか分かったりするだけでも大きな成果です。
- 定期的な実施: 一度きりでなく、週に一度など定期的に実施することで、チームの習慣となり、より自然に質問や情報共有が行われるようになります。
バリエーション
- テーマを限定する: 特定のプロジェクト、特定の業務ツール、あるいは新しく導入されたシステムなど、テーマを絞って実施することで、より実践的な情報交換を促すことができます。
- 「これ教えて!」形式にする: 参加者が知りたいことを質問する形式に特化し、それに対して他のメンバーが回答する時間を設けます。
- オンラインホワイトボードを使用する: MiroやMuralなどのオンラインホワイトボードツールを活用し、付箋形式で質問や情報を貼り付け、それに対してコメントや回答を書き込んでいく形式も視覚的に分かりやすく、参加者全員が同時に書き込めるメリットがあります。
まとめ
リモートワークにおいて、対面でのちょっとした会話から生まれる情報共有や助け合いの機会は自然と減少してしまいます。しかし、「サクッと質問・シェアタイム」のような短時間で手軽なアクティビティをチームに取り入れることで、この課題を効果的に解消することが可能です。
小さな疑問や困りごとをチーム全体で共有し、互いの知識や経験を活かしてサポートし合う文化は、チームの心理的安全性を高め、メンバー一人ひとりのエンゲージメント向上にも繋がります。また、日々の業務で得た小さな知見を共有することは、チーム全体のスキルアップにも貢献します。
ぜひ、この記事でご紹介したアクティビティをあなたのチームで実践し、より強く、より連携の取れたリモートチームを構築してください。継続的に実施することで、チーム内のコミュニケーションはより円滑になり、リモートワークの生産性と快適性はさらに向上するはずです。