リモートチームのメンバーが互いの強みを認め合う短時間オンラインアクティビティ
リモート環境で育む、互いを認め合う文化
リモートワークが常態化する中で、チーム内の人間関係やコミュニケーションは、生産性やメンバーのエンゲージメントに大きな影響を与えます。特に、日々の業務の中でお互いの貢献や強みを認識し、伝え合う機会が減少すると、メンバーは孤立感を感じたり、自身の働きが正当に評価されていないと感じたりすることがあります。これはチーム全体の士気低下に繋がりかねません。
チームリーダーやマネージャーの皆様は、このような課題に対して、どのようにチーム内のポジティブな相互作用を促進し、信頼関係を構築していくか、日々模索されていることでしょう。
この記事では、短時間で手軽に実施でき、リモートチームのメンバーが互いの良い点や強みを具体的に伝え合うことを通じて、相互理解とエンゲージメントを深めるオンラインアクティビティをご紹介します。このアクティビティは、特別な準備やツールを必要とせず、普段のオンライン会議の冒頭や終わりに短時間で行えるため、多忙なチームにも取り入れやすい内容です。
アクティビティ概要:『チームの良いところシャワー』
このアクティビティは、チームメンバーが指定されたテーマ(例: 「最近〇〇さんが素晴らしいと感じたこと」「〇〇さんのこういう点が助かる」など)に沿って、ポジティブなフィードバックや感謝の気持ちを具体的に伝え合うものです。シャワーのようにポジティブな言葉を浴びせかけるイメージで実施します。
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期待される効果:
- メンバー間の相互承認と信頼関係の構築
- 自己肯定感とチームへの貢献意欲の向上
- チーム全体の心理的安全性の醸成
- チームメンバーの強みや良い点への気づき
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対象人数目安: 3名〜10名程度(少人数の方が実施しやすい)
- 所要時間目安: 5分〜15分
- 準備物:
- オンライン会議ツール(Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなど)
- 必要に応じて、テキスト共有ツール(Slack、Teamsチャット、共有ドキュメント、Miroなどのホワイトボードツール)
具体的な実施手順
ステップ1:目的とルール説明(2分)
アクティビティ開始前に、目的と簡単なルールを説明します。 「これから、お互いの良い点や感謝していることを伝え合う簡単なアクティビティを行います。目的は、お互いの貢献を認め合い、チームの雰囲気をより良くすることです。ポジティブな内容に限定し、できるだけ具体的に伝え合うようにしましょう。」 時間と一人当たりの発言時間の目安も伝えるとスムーズです。
ステップ2:テーマの提示(1分)
フィードバックのテーマを明確に提示します。具体的な行動や貢献に焦点を当てるテーマ設定が効果的です。 例: * 「この1週間で、他のメンバーの『さすがだな』と思った瞬間を一人一つずつ共有しましょう。」 * 「最近、誰かから助けてもらったり、感謝したいと思ったことを具体的に伝えてみましょう。」 * 「〇〇さん(一人のメンバーを指名)の最近の貢献で素晴らしいと感じた点を順番に共有しましょう。」(一人に集中して行う場合)
ステップ3:フィードバックの共有(5分〜10分)
提示されたテーマに沿って、メンバーが順番に発言していきます。
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口頭で行う場合:
- 進行役が順番を指定するか、挙手などで自主的に発言してもらいます。
- 一人あたり30秒〜1分程度を目安に、伝えたい相手と具体的に「どのような行動が」「どのように素晴らしかったか」「助かったか」を伝えます。
- 例: 「〇〇さんへ。先日、私が困っていた△△の件で、すぐに□□の情報を共有してくださってありがとうございました。おかげで作業がスムーズに進みました。」
- 全員が少なくとも一人にフィードバックできるよう促します。
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チャットや共有ツールで行う場合:
- オンライン会議ツールのチャット機能や、Slackなどのテキストツール、またはMiroなどのホワイトボードツールを使用します。
- 指定されたテーマに沿って、全員が同時にテキストでフィードバックを書き込みます。
- 書き込みが完了したら、ざっと目を通したり、印象に残ったフィードバックについて簡単に触れたりする時間を持つことも有効です。
- この方法の利点は、発言に抵抗があるメンバーも参加しやすく、後から見返すことができる点です。
ステップ4:簡単な振り返り(1分〜2分)
アクティビティを終えた後、参加メンバーに簡単な感想を聞いてみましょう。「どうでしたか」「何か気づきはありましたか」といった問いかけで十分です。ポジティブな雰囲気で終了することを心がけます。
成功のためのポイント
- 具体性を重視する: 「〇〇さん、いつも頑張っていて素晴らしいです」だけでなく、「〇〇さんが、あの時△△という提案をしてくれたおかげで、□□という問題が解決しました。ありがとうございます。」のように、誰が・いつ・何を・どうしたか、そしてそれがどう良かったかを具体的に伝えるように促しましょう。
- 心理的安全性を確保する: このアクティビティは、チーム内の信頼関係が前提となります。普段から、メンバーが安心して発言できる雰囲気づくりを意識しておくことが重要です。フィードバックはポジティブな内容に限定することを徹底します。
- 全員が参加できるように促す: 特定のメンバーばかりが発言したり、フィードバックを受けたりする状況は避けます。全員が誰かに感謝を伝えたり、誰かの良い点を認めたり、あるいは自身がフィードバックを受け取ったりする機会があるように、進行役が配慮します。
- 定期的に実施する: 一度きりではなく、週に一度や隔週など、短い頻度で定期的に行うことで、チーム文化として定着しやすくなります。
バリエーション
- 指名制: 一人のメンバーに焦点を当て、他の全員がそのメンバーの良い点を伝える形式。新メンバーの歓迎や、特定のプロジェクトでの貢献を称える際に有効です。
- テーマを工夫する: 「仕事以外の『意外な一面』で尊敬するところ」「自分では当たり前だと思っているかもしれないけれど、他のメンバーから見るとすごい点」など、少し変わった切り口のテーマを設定するのも面白いでしょう。
まとめ
リモート環境下では、意識的にコミュニケーションの機会を設けなければ、メンバー間の相互理解や承認は希薄になりがちです。『チームの良いところシャワー』は、短時間で手軽に実施できるにも関わらず、互いの貢献や強みを認め合う強力な機会を提供します。
このアクティビティを定期的に取り入れることで、チームメンバーは自身の価値を感じやすくなり、互いへの感謝や尊敬の念が育まれます。それは結果として、チーム全体のエンゲージメントを高め、より協力的でポジティブなチーム文化の醸成に繋がります。
ぜひ、皆様のチームでもこのアクティビティを試してみてください。リモートワークにおけるチームの絆をより一層強固なものとするための一助となれば幸いです。