リモートチームの「モヤモヤ」を解消!オンラインで気軽に課題を共有する短時間アクティビティ
リモートワークで見えにくい「モヤモヤ」を可視化する重要性
リモートワーク環境では、オフィスで交わされていたようなちょっとした立ち話や、非公式な情報交換の機会が減少しがちです。これにより、チームメンバーが業務上で感じている「小さな困りごと」や「改善したらもっと良くなるのに」といった感覚、いわゆる「モヤモヤ」が見えにくくなることがあります。
こうした見えにくい「モヤモヤ」は、単独では大した問題に見えなくても、積み重なることでチーム全体の士気低下や生産性の阻害要因となる可能性があります。特に、心理的安全性が十分に醸成されていないチームでは、こうした些細な課題であっても「自分が我慢すれば良い」「言うほどのことではない」とメンバーが抱え込んでしまいかねません。
チームリーダーやマネージャーの皆様は、いかにしてこの「モヤモヤ」を安全かつ手軽にチーム内で共有し、改善に向けた小さなきっかけを作れるかという課題に直面されているかもしれません。この記事では、そのような課題意識をお持ちの皆様に向けて、短時間で実施でき、メンバーが気軽に自身の「モヤモヤ」を共有できるオンラインアクティビティをご紹介します。
アクティビティ紹介:「カジュアルモヤモヤシェアタイム」
このアクティビティは、チームメンバーが抱える業務上の小さな課題や改善点を、深刻になりすぎずに共有し、チームとして軽く触れる時間を持つことを目的としています。
概要
各自が最近の業務で感じている「ちょっとした困りごと」「こうなったらいいのに」といった「モヤモヤ」を、匿名または記名で短時間で共有します。投稿された内容に対し、深い議論は行わず、共感を示したり、軽い意見交換をしたりすることで、課題を可視化し、チームで共有認識を持つ機会とします。
期待される効果
- チームメンバーが抱える見えにくい課題の早期発見
- メンバー間の共感や、互いをサポートしようという意識の向上
- チームの改善文化の醸成に向けた小さな一歩
- 「何を言っても大丈夫」という心理的安全性の向上
- 普段話題にならない業務の側面に関するコミュニケーションの活性化
対象人数目安
3名から15名程度が適しています。人数が多い場合は、投稿された内容を全て取り上げるのが難しくなるため、時間を区切る、または少人数のブレークアウトルームを活用するなどの工夫が必要です。
所要時間目安
10分から20分程度。週に一度など、定期的に実施するのに適しています。
準備物
- オンライン会議ツール(Zoom, Microsoft Teams, Google Meetなど)
- 課題共有のためのオンラインツール
- 匿名投稿ツール: Slido, MentimeterなどのQ&A機能で匿名投稿が可能なもの。手軽さと匿名性が魅力です。
- オンラインホワイトボード: Miro, Mural, Google Jamboardなど。付箋機能を使って視覚的に共有できます。Google Jamboardは無料で利用できます。
- 共有ドキュメント: Google Docsなどでも代替可能ですが、匿名性や視覚的な整理の面で上記ツールが推奨されます。
具体的な実施手順
ここでは、匿名投稿ツール(例: Slido)を使用する場合の手順を中心に説明します。
- ツールの準備: 匿名投稿ツールで、新しい質疑応答セッションを作成します。設定で「匿名投稿を許可する」をオンにします。参加者にセッションへの参加方法(QRコード、リンク、コード入力など)を共有します。
- テーマ提示(1分): 進行役(チームリーダーなど)が、このアクティビティの目的と手順を説明します。「今回は、皆さんが最近の業務で感じている『ちょっとした困りごと』や『こうなったらいいな』といった『モヤモヤ』を気軽に共有する時間です。深刻な問題解決の場ではなく、皆で共感したり、気付きを得たりすることが目的です。匿名で投稿できますので、安心して率直な気持ちを共有してください。」と伝えます。深刻な課題ではなく、「ちょっとした」ものであることを強調することが重要です。
- 投稿時間(3分〜5分): 参加者は、各自ツールを開き、自身の「モヤモヤ」をテキストで入力し投稿します。複数のモヤモヤがあっても構いません。
- 共有と共感(5分〜10分): 投稿された内容を進行役が一つずつ読み上げます。
- 似たような「モヤモヤ」がないか、他のメンバーは投稿内容についてどう感じているかなどを軽く問いかけます。
- 投稿者を探したり、内容を深掘りして原因追及したりすることは避け、共感の姿勢を示すことに重点を置きます。「なるほど、そういうことがありますね」「それは少し困りますね」といった受容的な言葉を使います。
- 特に共感の多かったモヤモヤや、多くのメンバーが「気になる」と感じたモヤモヤがあれば、それに軽く触れます。
- 締めくくり(1分): 進行役が、「今日は皆さんから様々な『モヤモヤ』を共有していただき、ありがとうございました。一人で抱え込まずに共有していただくことで、チーム全体の気づきに繋がります。共有された内容で、もしチームとして検討する価値のあるものがあれば、改めて話し合う機会を設けることも検討します。」などと伝え、感謝を述べます。アクティビティはこの場で終了し、共有された内容に関する深い議論は行いません。
成功のためのポイント
- 目的の明確化: このアクティビティが「深刻な問題解決の場ではなく、あくまで気軽に『モヤモヤ』を共有し、共感や気付きを得る場である」ことを事前に明確に伝えることが最も重要です。
- 匿名性の活用: 匿名投稿ツールを使用することで、参加者は安心して率直な意見を共有しやすくなります。
- 進行役のファシリテーション: 投稿内容に対する否定的な意見や、過度な深掘り・原因追及が行われないよう、進行役が場の雰囲気や会話をコントロールします。あくまでポジティブで受容的なトーンを保ちます。
- 時間管理: 短時間で終えることを意識し、予定時間を超過しないようにします。
- 継続的な実施: 一度きりで終わらせず、週に一度や隔週など、定期的に実施することで、チーム内に「モヤモヤを共有しても大丈夫」という安心感が生まれ、心理的安全性の向上に繋がります。
バリエーション
- ホワイトボード形式: オンラインホワイトボード上に「最近のモヤモヤ」といったエリアを作り、参加者が各自付箋などで書き込んで貼り付けます。関連するモヤモヤを近くに貼ったり、コメント機能で軽く反応したりすることも可能です。視覚的に全体像を把握しやすいのが利点です。
- 特定のテーマに絞る: 例えば、「最近使っている〇〇ツールに関するモヤモヤ」「リモートでの会議進行に関するモヤモヤ」など、特定の業務領域やツールに絞って共有することも有効です。
- ポジティブなテーマとの組み合わせ: 「良かったこと」と「モヤモヤすること」の両方を共有する時間を設けることで、バランスを取り、よりポジティブな雰囲気の中で課題を共有しやすくなります。(例: Keep and Problemタイムのように)
まとめ
リモートワークにおける「モヤモヤ」は、放置すればチームの活力や生産性を損なう可能性があります。今回ご紹介した「カジュアルモヤモヤシェアタイム」は、短時間かつ手軽に実施でき、チームメンバーが安心して自身の小さな課題を共有できる機会を提供します。
このアクティビティを継続的に実施することで、チーム内の「見えにくい課題」を早期に発見し、メンバー間の共感を育み、心理的安全性を高めることに繋がります。ぜひ、皆様のチームでこのアクティビティを試してみてはいかがでしょうか。